生姜、大根、わさびの知恵を紹介します。これらの食材は、古くから日本の食卓に親しまれ、健康や美容にも良いとされています。おばあちゃんたちが大切に守ってきた知恵や使い方は、私たちの生活にも役立つことが多いです。例えば、生姜は風邪を予防する効果があり、大根は消化を助けてくれます。また、わさびは料理のアクセントとしてだけでなく、抗菌作用があります。
肉は、生姜汁につけると軟らかくなる。
現代では、肉を買ってきてもすぐ冷蔵庫にしまい込んでしまいますが、昔は、肉はすぐ生姜汁につけなさいと言われていました。これは、生姜の香りによって、肉の臭みを消すためもありますが、生姜のもう一つの働きである、肉を軟らかくする効果をねらっているのです。
ご承知のように、生姜には、タンパク質分解酵素が含まれ、これが、肉を軟らかくする働きをするのです。昔の人は科学的でないといわれますが、経験によってじつに豊かな科学的知識を身につけているのです。
さて、この酵素は、肉の０．５ミリから２ミリぐらいのところまでしかしみ込みません。ですから、厚い肉や固まりのまま調理するときは、箸やフォークのようなもので穴をあけて、内部までしみ込ませなければなりません。
豚肉といっしょによく調理されているパイナップルにも、タンパク質を分解する酵素が含まれています。パイナップルは、甘酸っぱさが豚肉とよく調和するというだけでなく、肉を軟らかくする一石二鳥の効果があります。
生姜は皮をむかないで、大根はむいてからおろす。
生姜は古くから、肉や魚の香り付け、匂い消しとして使われています。この生姜特有の香りと辛味は、皮目にいちばん含まれていますから、あとで取り分けて食べないようなときは、皮をそのままにして生姜をまな板にのせ、包丁の腹をその上にのせて押しつぶして使うのがコツです。おろし生姜、みじん切りにするときは、割り箸の角や、スプーンを使って、こそげ取るようにうすく皮をとります。いちばん大事な皮をむいてしまったのでは、生姜本来の効果がでないところから、「生姜むく馬鹿、大根むかぬ馬鹿」などという言葉も生まれたのです。
さて、いっぽうの大根ですが、こちらは皮目のところに口ざわり悪い繊維や苦味があります。大根は、皮と中身の軟らかさがちがい、皮のついたままおろしをすると、外の繊維まで口ざわりが悪くなったうえ、つい力が入ってしまうために、水っぽい大根おろしになってしまいます。
煮る場合も、周りの繊維がしっかりしていますから、煮あがったとき中身が引っ込んだ形になってしまい、どうしても見映えのよくないものになってしまいます。夏などはとくにこれがひどくなり、口の悪いお年寄りは、大根に壁ができたなどといって、何もも知らない若い人たちを冷やかしたりします。
わさびは、「笑っておろす」と、辛さが出ない。
昔から、「わさびをおろすとき、笑ってはだめ。」という言い伝えがあり、ふだんはやさしいお年寄りが、わさびをおろすときだけは、じつにこわい顔をしておろしています。べつに、おろすときの顔つきで辛さや香りが違うわけではありませんが、いい加減なおろし方では、あの芳香は生まれないのです。
わさびの辛さは、すりおろすときに、シングリンという配糖体がミロシナーゼという酵素によって分解されるときに生じます。これが他の物質とまじって辛子油ができるのですから、いい加減におろしたのでは、うまくシングリンが分解しないのです。そこで、わさびは、おろし器に直角にあて、力を入れてしっかり持ち、おろし器の表面の先でややうかし気味にぐっとおろすのがよいおろし方となるわけです。
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辛子を練るときも、笑って練ってはだめだといわれています。水を加えて練ることで、揮発性の辛子油が生じて激しい辛味を出すのですから、笑って練っては、練り方が足りないというわけでしょう。練り方の足りない辛子は、香辛料としても、また防腐剤としても、その効果が半減してしまいます。
まとめ
豚の生姜焼き、酢豚、冷ややっこが食べたくなったではないでしょうか。生姜、大根、わさびの知恵が、日常生活に新しい刺激を与えることを願っています。古くから受け継がれてきた知恵を通じて、食と健康の大切さを再確認し、豊かな暮らしを実現しましょう。
