おばあちゃんの知恵 役立つ暮らしの辞典

昔から語り継がれる暮らしの知恵を発信

おばあちゃん直伝!食べ物にかんする知恵 【お米・味噌汁】

 おばあちゃんたちがお米に対して持っていた知恵は、ただ炊くだけではなく、その選び方や保存法にも心を込めていました。どんな米が美味しいご飯になるのか、季節や保存方法によって変わるお米の味わいなど、彼女たちの経験から学ぶことがたくさんあります。

 そして、味噌汁これは日本の食卓に欠かせない一品で、おばあちゃんたちの手による味噌汁は特に格別です。その秘密は、選ぶ味噌の種類や具材の取り合わせだけでなく、何よりも手間暇をかけた優しい愛情。味噌汁を通して、家族や友人とのふれあいが生まれ、心が温かさに包まれる瞬間を感じます。

 このブログでは、おばあちゃんたちが実践してきたお米と味噌汁の知恵を紹介し、それを今の時代にどう活かすかを考えていきます。新しい発見と共に、おばあちゃんたちの知恵があなたの食卓に新たな魅力をもたらすことでしょう。

 

 

お米は、炊く2~3時間まえにといでおく

 昔から、お米を炊く直前にとぐようでは一人前の主婦とはいえない、ということがいわれています。一つには、食事のまぎわにあわててご飯を炊く手際の悪さを非難したものですが、一つには、おいしいご飯を食べさせるのが主婦の役目であるという意味が含まれています。

 たしかに、お米の質に関係あるとはいえ、炊く直前にといだお米と、2~3時間まえにといだお米とは、味が全く違います。というのは、お米のでんぷんが、加熱によって糊化するためには、でんぷんの30%の水が必要で、炊くまぎわにといだのでは、これだけの水分が吸収されないのです。

 お米が水を吸い込む速度は、最初の5分間で糊化に必要な分量の10%、1時間後で80%とされています。3時間を過ぎると、それ以上吸収しません。また、この給水速度は、水温が高ければ早くなり、冬で1時間半かかるところも、夏では30分ですみます。平均2~3時間前にといでおけばよいというわけです。

 といだあとでザルにあけておいたお米の容積を2~3時間後に計ってみると、吸水して容積が増しています。この量と同量の水で炊けば、おいしいご飯が出来上がります。

 

 

ご飯は、昆布を入れて炊くとおいしくなる

 お寿司をつくるときなど、ご飯をおいしく炊く必要があるとき、昆布を入れて炊くとよいといわれます。これは、昆布のうま味がほどよくご飯にしみ込むためですから、分量が多すぎたり、のせ方が下手だと、昆布くささが強くなりかえってマイナスです。

 お年寄りのやり方を見ていますと、ご飯が沸騰してくると、素早く抜き出しています。昆布は沸騰すればするほど、昆布のにおいが出て味が悪くなりますから、この抜き出す時期が問題なのです。茶色になった部分は、炊きあがったあと全体によくほぐしておきます。

 

 

味噌汁の味噌は、食べる直前に入れ、煮たたせない

 味噌汁は、その独特の香りと旨味で、日本人にとっては、欠くことのできない料理の一つです。地方や家によって、それぞれの味があり、その味を競ったところから、「手まえみそ」などという言葉が生まれたのでしょうが、最近では、あまり「わが家の味」にお目にかからなくなりました。

 「味噌汁は煮えばな」といって、味噌を入れたらサッと煮立てて、すぐ火からおろすのが、香りと旨味を生かすコツだとされています。つまり、味噌は、できるだけ食べる直前に入れる方がよいわけです。

 ご存じのように、味噌には大豆だけのものと、大豆と麦、あるいは大豆と米麹でできているものがあり、塩との配合、作り方、発酵の期間などで、色・香り・味が異なっています。この味噌の香りは、大豆や麦、米の麹菌の酵素によって分解され、酵母やその他の菌が繁殖中に発生するアルコール類、揮発酸類、アミノ酸といったものによってつくり出されています。また、旨味の成分は遊離アミノ態窒素といわれるものですが、どちらも熱に弱いのが特徴です。ですから、長く煮立たせたりすると、香りも旨味も失われた塩辛いだけの味噌汁になってしまうのです。

 

 

煮干しは、水につけておくと旨味のあるだしがとれる

  味噌汁の上手下手は、味噌の入れ方ともう一つ、だし汁の取り方によって決まります。近ごろでは、だしの素といって、エッセンスを粉状にしたものが出回っておりますが、やはり、これでは、昔ながらの煮干しでとっただしのような旨味を味わうことができないようです。

 ところが、煮干しを使いさえすれば、だれでもおいしい味噌汁が作れるかというと、そうでもないようです。同じ煮干しを使っても、田舎のおばあちゃんの家の味噌汁と、わが家の味噌汁とはどうしても味に差が出てしまう、ということがよくあるのです。

 この味の秘密は、煮干しのだしの取り方にあります。つまり、煮干しのだしをほんとうによく出すには、いきなり湯に入れるのでなく、「水だし」といって、いったん水に20分くらいつけるのです。こうすると、魚臭さが抜け、身もほぐれてだしがでやすくなります。こののち、煮干しが踊らない火加減で、10分ほど煮ればいいのです。田舎の味噌汁とわが家の味噌汁が違うとすれば、この「水だし」を取るか取らないかでしょう。

 なお、煮干しは、丸ごとでなく、頭と腹わたを取り、二つに裂いてから、水の中で軽くもむようにして上皮を除き、「水だし」の水に入れます。こうすると、カスが出ません。

 

 

鰹節が固くて削りにくいときは、火であぶる

 鰹節は、日本古来のすぐれた加工食品ですが、すぐ固くなったり、カビが生えたりして、使うのに不便します。こんなとき、ちょっとした知恵が、鰹節をたいへん使いやすくするのです。

 お天気がつづくと、鰹節は乾燥して固くなり、たいへん削りにくくなりますから、ちょっと火であぶります。こうすれば、焼いたスルメのように、やわらかくなって、簡単に削れるようになるばかりか、明日の天気まで予想できるわけです。天気のつづくときは、キャベツなどの野菜の葉に包んでおいても、適当な湿り気で削りやすくなります。

 梅雨期などは、鰹節の表面が白くカビの生えたようになります。こんなときは、旨味も減りますから、酒などで表面をよく拭いてから、風通しのよいところに置きます。しばらくして削ると、削りやすくなるばかりか、味も落ちません。

 

 

味噌汁が薄いときは、醬油をちょっと入れる

 味噌汁の香りや旨味を損なわないようにするには、「味噌は煮えばな」ですから、できあがった瞬間の味噌の香りが、味の良し悪しを左右します。ところが、困ったことに、味噌の量加減を失敗して、できあがったはいいのですが、どうもちょっと薄かったなどということがよく起こります。もう一度味噌を足して煮かえしをしていたら、せっかくの味噌の香りが逃げてしまいます。

 このような失敗を見事に繕うのも、家事上手の条件でしょう。その条件を満たしたおばあちゃんのような家事のベテランなら、できあがった味噌汁に、醤油を少したらします。これで香りを殺すことなく、味の薄さを修正できるのです。

 ご存じのように、醤油は、もともと味噌を作る工程で味噌の上にたまる「溜り」という液体に起源を発しているくらいで、味噌とは同族です。それに、どんな料理でも、醤油は、調味の順序の最後に入れて、香りを味わうものですから、この意味でも味噌汁の味をそこねません。

 そればかりか、さばの味噌煮、さつま汁のような味噌料理の仕上げは、醤油を最後に一滴たらすことによって生きてくるとされているくらいです。

 

 

まとめ

 お米に対するこだわりや、味噌汁への手間暇かけた愛情。これらが織り成す食卓の風景には、家族や友人との心温まるひとときが広がっています。おばあちゃんたちの経験から学び、その知恵を取り入れることで、私たちの食事がより深みを増し、豊かなものになることでしょう。

今後もこのブログでは、おばあちゃんたちの知恵を中心に、様々な食べ物や料理にまつわる興味深い話や実践的なアイデアをご紹介していきます。おばあちゃんたちの知恵が、あなたの食卓に新しい喜びと温かさをもたらしますように。