知ってるようで知らないチーズの知識
チーズは、大雑把に言えば、牛乳を十分の一に濃縮したもので、その結果、非常に栄養価の高い食品となっています。チーズには、タンパク質やカルシウム、ビタミンA、ビタミンB12などの栄養素が豊富に含まれており、成長期の子供や骨の健康を保ちたい人々にとって有益です。
また、チーズの種類は非常に多く、世界中で数百種類が存在します。例えば、フランスのカマンベールやブリー、イタリアのモッツァレラやパルミジャーノ・レッジャーノ、スイスのエメンタールなどがあります。これらのチーズは、使用する牛乳の種類や製法、熟成期間によって異なる風味や食感を持っています。
さらに、チーズはそのまま食べるだけでなく、料理の材料としても広く利用されます。ピザやパスタ、サラダ、サンドイッチなど、様々な料理に欠かせない存在です。このように、チーズは栄養価が高く、多様な種類があり、食卓を豊かにする食品です。
チーズの製造過程
チーズ作りは、基本的に以下のステップを経て行われます。
- ミルクの選定 新鮮な牛乳、羊乳、または山羊乳を使用します。低温殺菌(パスチャライズ)されたミルクが一般的ですが、完全に未処理の生乳を使うと、より複雑な風味が楽しめます。
- 温めと凝乳酵素の添加 ミルクを適温(約30~40度)に温めます。この温度は、使用する凝乳酵素(レンネット)の働きを助けます。温めたミルクに凝乳酵素を加え、よく混ぜます。レンネットは、ミルクのカゼインというタンパク質を固める役割を果たします。
- 凝固 ミルクが固まり、カスタード状の凝乳になります。通常、30分から1時間程度で凝固が完了します。
- カッティング 固まった凝乳をカッティングナイフで小さな立方体に切ります。これにより、ホエイ(乳清)とカード(固形部分)が分離しやすくなります。
- 加熱と攪拌 カードを加熱しながら軽く攪拌します。これにより、さらにホエイが分離し、カードのテクスチャが変化します。温度と攪拌の時間は、作るチーズの種類によって異なります。
- ドレインとプレス カードとホエイを分離します。ホエイを捨て、カードをチーズクロスに包んで軽く絞り、余分なホエイを取り除きます。さらにプレスして形を整え、余分な水分を排出します。
- 塩漬け カードを塩漬けにすることで風味を加え、防腐効果も得られます。塩水に浸す方法や、直接塩をまぶす方法があります。
- 熟成 多くのナチュラルチーズは熟成が必要です。涼しく湿度の高い場所で、数週間から数年間にわたり熟成させます。熟成期間中、チーズは風味やテクスチャが変化し、より深い味わいになります。
チーズの種類
チーズを大別すると、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられます。
ナチュラルチーズ
自然な原材料と伝統的な製法を用いて作られるチーズです。添加物や保存料を使わず、ミルク、塩、凝乳酵素(レンネット)などの基本的な材料を使って作られます。このシンプルな製法が、豊かな風味と多様なテクスチャを生み出します。気候風土に左右されるため、地方ごとに味や香りに特色があり、自慢のものを産しています。
プロセスチーズ
何種類かのナチュラルチーズを混ぜ合わせ、加熱して形成したものです。酵素などの働きを止めているため、香りやくせが薄れて均一化されているので、日本人に好まれています。国産チーズのほとんどがこれです。スライス、スティック、6ポーションと多種タイプで食べやすく加工されています。
ナチュラルチーズのいろいろ
世界中で愛されているナチュラルチーズの中には、それぞれの地域の風土や伝統を反映した多様な種類があります。ここでは、その中でも特に有名なチーズをいくつか紹介します。
エメンタール
スイスの穴あきチーズで、クリーミーで優しい風味が特徴
エメンタールチーズはスイスを代表する伝統的なチーズで、エメンタール地方に由来しています。特徴的な大きな穴があり、ナッツのような香りと甘みのあるまろやかな味が魅力です。牛乳から作られ、レンネットで凝固させた後、熟成させて穴を形成します。グリュイエールチーズとブレンドしてフォンデュ用に使われることが多い。
特徴
- 外観:淡い黄色で硬くなめらかな表面を持ち、規則的に配置された大きな穴が特徴。
- 風味:ナッツの香りとまろやかな甘み
- 食感:しっとりとした弾力
使用方法
熱に溶けやすいのでフォンデュやグラタン、ホットサンドなどに最適です。薄切りをそのまま食べてもおいしい。
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グリュイエール
スイスを代表するフォンデュ用で有名なチーズ
グリュイエールチーズは、スイスのグリュイエール地方で生産される伝統的なチーズです。未殺菌または殺菌された牛乳を使用し、レンネットで固めて熟成させます。豊かな風味と多用途性で世界中で愛されています。ナッツのような複雑な味わいと滑らかな食感が特徴の一品です。エメンタールとブレンドして、フォンデュ用として使われることが多い。
特徴
- 外観:茶色がかった硬い外皮とクリーミーな黄色の内部。小さな穴が少しある。
- 風味:ナッツやフルーツを思わせる複雑で深い味わい。熟成が進むと風味が濃厚に。
- 食感:なめらかでしっとりした弾力
使用方法
フォンデュやグラタン、ホットサンドなどに使われます。そのままでも。
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ロックフォール
羊の乳が原料のフランスの青カビチーズで、濃厚な風味が特徴
ロックフォールチーズは、フランス南部のロックフォール=シュル=スールゾン村で生産される、世界で最も古くから知られているブルーチーズの一つです。羊の乳を原料にし、その独特な風味とクリーミーな食感で、チーズ愛好家の間で広く親しまれています。
特徴
使用方法
サラダにトッピングしたり、ドレッシングの材料として。デザートに蜂蜜やナッツと合わせて楽しむ。
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カマンベール
フランスのクリーミーな白カビチーズで、芳醇な風味が特徴
カマンベールチーズは、フランスのノルマンディー地方で生産される代表的なソフトチーズです。その歴史は古く、中世から存在し、当初は農家の家庭で作られていました。現在では、特定の製造基準に基づいて工業的に生産されており、チーズ愛好家に広く愛されています。外観は白色で、内部は柔らかくてクリーミーな質感が特徴で、熟成が進むとより濃厚な風味を楽しめます。
特徴
- 外観:白いカビが表面に広がり、内部はクリーミーでなめらか。
- 風味:バターのような香りと濃厚な味わいが楽しめます。熟成が進むとより深い風味が出ます。
- 食感:口当たりが良く、少し塩味があります。
使用方法
デザートやオードブルに向きます。
- チーズプレート:ワインやフルーツと一緒に楽しむ。
- 料理のトッピング:オーブンで焼いたり、サラダに添えたり。
- チーズフォンデュ:溶かしてパンや野菜にディップする。
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ブリーチーズ
フランス発祥のカマンベールチーズに似た白カビチーズ
ブリーチーズは、フランス発祥のソフトチーズで、その歴史は中世から続く伝統的なチーズです。主にブリー地方で生産され、特徴的な白カビが表面を覆います。この白カビが成熟すると、チーズ全体にクリーミーで豊かな風味が広がります。カマンベールチーズと似ていますが、それぞれ大きさが異なり、カマンベールチーズは直径12センチぐらいですが、ブリーチーズは27~36センチくらいの大型チーズになります。
特徴
使用方法
そのまま食べるほか、チーズプレートやサンドイッチの具材、料理のソースやディップとして幅広く使われます。
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ゴーダ
ゴーダチーズは、オランダを代表する伝統的なチーズであり、世界中で広く消費されています。その豊かな風味と柔らかい食感が特徴で、その万能さと美味しさで、多くの料理に幅広く活用されています。
特徴
- 外観:大きな円盤状で、黄色がかった内部に、赤みを帯びた外皮。
- 風味:まろやかで豊かな味わいがあり、熟成が進むとより豊かな風味に。
- 食感:軟らかくて、噛むと少し粘り気がある。
使用方法
万能に使用。くせの少ないチーズで、薄く切ってオードブルにしたり、おろして料理に使います。
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エダム
オランダ原産のくせの少ないさっぱりしたチーズ
エダムチーズは、オランダの伝統的なチーズであり、その名前はオランダの町「エダム」に由来します。丸い形状と赤みを帯びた外皮が特徴で、豊かな風味と柔らかい食感が魅力です。
特徴
- 外観:典型的には丸く、赤みを帯びた外皮を持ち、内部は黄色がかった色合い。
- 風味:まろやかで穏やかな味わいがあり酸味がある。若いものは比較的穏やかな味わいですが、熟成が進むと豊かな風味が現れます。
- 食感:軟らかく、さっぱりして、口当たりが良い。
使用方法
食べるときは、表面の赤いワックスをとり除く。おろして菓子、ソース、グラタンに使ったり、薄切りにしてオードブルに用いられます。
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チェダー
世界中で最も生産量の多いチーズ
チェダーチーズは、イギリス発祥の代表的なナチュラルチーズであり、その歴史は古く、その万能さと風味で、料理の隠れたヒーローとして、多くの料理愛好家に愛されています。
特徴
- 外観:内部は黄色がかった色合いで、熟成度合いによって色合いが異なります。
- 風味:クリーミーで豊かな風味があり、さわやかな酸味がある。熟成によりさらに深みが増します。
- 食感:硬さとしっかりした質感があり、切りやすく、溶けやすい性質も持ちます。
使用方法
チーズプレートやサンドイッチ、料理のトッピングとしてバーガーやポテトのトッピングに。
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モッツァレラ
イタリアの柔らかい白チーズで、独特の弾力性が特徴
モッツァレラチーズはイタリア発祥の柔らかいチーズで、特徴的な食感と使い勝手の良さで知られています。古くからナポリ近郊で作られており、伝統的な製法を守りながら現代でも愛されています。牛乳を凝固させた後、伸ばし作業によって独特の弾力性となめらかさを得、成形後は冷水で急冷して風味を引き立てます。
特徴
- 外観:柔らかくて伸びる食感があり、手でちぎったり、切ったりすることができます。加熱すると溶け出しやすく、食材に絡ませると特有の風味を加えます。
- 風味:牛乳の甘みとクリーミーさが感じられ、比較的穏やかな風味を持ちます。
- 食感:口の中で柔らかくほどけるような感触が特徴であり、料理に組み込むと独特のクリーミーさを楽しめます。
使用方法
主にピザやカプレーゼなどのイタリア料理に使われるほか、サラダやパスタにも広く利用されます。そのまま食べるほか、料理のトッピングとしても好まれます。
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パルミジャーノ・レッジャーノ
固くてうま味と塩味の強いイタリアチーズの王様
パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリアのエミリア・ロマーニャ地方で古くから作られているハードチーズです。その起源は中世にさかのぼり、900年以上の歴史があります。伝統的な製法と厳格な品質管理により、独特の風味と質の高さが保たれています。
特徴
- 外観:硬い質感で、粒子が細かく詰まっており、見た目にも粉末のような白い結晶が見られます。
- 風味:濃厚で深い風味が特徴で、ナッツのような甘さと塩味が感じられます。
- 食感:非常に硬くて粉っぽい。
使用方法
料理の仕上げにすりおろして使用され、パスタやリゾット、サラダなど多彩な料理に利用されます。
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ゴルゴンゾーラ
イタリアを代表する青かびチーズ
ゴルゴンゾーラはイタリア発祥の青カビチーズで、その歴史は古く、中世から存在しています。主にロンバルディア州やピエモンテ州で生産され、特にミラノ近郊のゴルゴンゾーラ地域が有名です。牛乳にレンネットを加えて凝固させ、青カビをチーズに加え、熟成させます。クリーミーでありながらスパイシーで強烈な風味が特徴で、独特のブルーの模様が内部に広がります。
特徴
- 外観:青い模様(青カビ)が内部に入り込んだ白色からやや黄色みのあるクリーミーなチーズ。個性的な見た目。
- 風味:濃厚でクリーミーなテクスチャーに、スパイシーでピリッとした青カビの風味が広がります。熟成が進むと、より深い味わいとコクが増します。
- 食感:青カビの存在感を感じる食感。口に入れるときに微細な青カビの結晶が感じられることもあります。
使用方法
サラダ、パスタ、リゾットなどの風味豊かなトッピングとして重宝されます。ソースやクリームソースにも。
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フォンティーナ
山岳地域で生産される山のチーズ
フォンティーナは、イタリアとスイスで生産されるセミハードチーズで、その独特の風味と使い勝手の良さが特徴です。イタリア北部のピエモンテ州やスイスで古くから作られており、まろやかで濃厚な味わいと柔らかな食感が魅力です。特にフォンデュや焼きチーズ料理に向いており、料理の一部として幅広く愛されています。
特徴
- 外観:淡い黄色や明るいオレンジ色をしており、わずかな穴がある不規則な形状です。表面は滑らかで、軽い粉をまぶしたような感触があります。
- 風味:豊かで甘く、時には若干の塩気を感じます。羊乳特有の深い味わいがあり、熟成が進むとより濃厚な風味になります。
- 食感:口の中で溶けるような柔らかな食感が特徴。
使用方法
フォンデュや焼きチーズ料理の素材として最適。
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マンチェゴ
ドン・キホーテにも登場したスペイン代表のチーズ
マンチェゴは、スペインの代表的な羊乳チーズで、その歴史は古く、数世紀にわたって愛され続けてきました。主にラ・マンチャ地方で生産され、その地域特有の気候と土壌がチーズに独特の風味を与えています。この地域での生産は厳密な規制に基づいて行われ、伝統的な製法と現代の技術が融合しています。
特徴
- 外観:典型的には淡い象牙色をしており、表面には模様があります。一般的に、チーズの側面には模様や凹凸が見られ、それが製法による特徴です。
- 風味:まろやかで濃厚な風味と果実のような香り。
- 食感:若いものは比較的柔らかく、熟成が進むと硬くなります。
使用方法
多目的で特にスペイン料理には欠かせない存在。サラダ、タパス・チーズプレート、料理のトッピングに。
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まとめ
海外のおばあちゃんの知恵、ということでチーズについて紹介しました。チーズについていろいろ調べるうちに、その魅力に引き込まれ、その結果、ナチュラルチーズについて詳しく紹介したくなりました。皆さんもこの記事を読んで、チーズが食べたくなったのではないでしょうか。
私自身も好奇心からスーパーでブルーチーズを買って食べてみましたが、その独特の風味と深い味わいに感動しました。チーズの世界は本当に奥深く、さまざまな種類があり、それぞれに異なる風味と食感が楽しめるのが魅力だと思います。
チーズはそのまま食べるだけでなく、料理のアクセントとしても活用できます。例えば、サラダに加えたり、パスタにかけたりすることで、いつもの料理が一段とおいしくなります。また、ワインやビールと合わせて楽しむのもおすすめです。
今後もいろいろな食材について学び、その魅力を皆さんと共有していきたいと思います。食べ物についての知識を深めることで、日々の食卓がより豊かで楽しいものになると信じています。