女性の健康には、代々語り継がれてきた伝統的な家庭療法が貴重な情報源となります。このブログでは、女性特有の病気や健康問題に焦点を当て、代々の知恵として伝承されてきたおばあちゃんたちの家庭療法やケア方法にスポットを当てていきます。
伝統的な家庭療法は、生理周期や更年期障害、婦人科疾患などの女性の健康問題に対する貴重なアプローチです。おばあちゃんたちからの知恵は、長い年月をかけて家族やコミュニティで受け継がれ、実践されてきました。
現代医学と並んで、伝統的な家庭療法や民間療法についても丁寧に探求していきます。伝統的な知識と現代の医療情報を組み合わせ、女性の健康維持に役立つ情報をお届けします。
更年期障害(血の道)
決定版は、ハブ茶とゲンノショウコの煎じ汁
女性の更年期障害は閉経期に当たります。ホルモンのバランスが一時的に崩れるために、目まい、肩こり、耳鳴り、どうき、冷や汗、ほてりなど、様々な症状に悩まされがち。こうした更年期障害は、昔から“血の道”と呼ばれてきました。月経がとまったり、不規則になって、不快な症状がでてきたら、次のような煎じ薬を試してみましょう。
ハブ茶、ゲンノショウコ、皮付きの桑の葉を各20グラム(乾燥品で)700㏄の水で半量に煎じた汁が一日分。毎日続けて服用すると、3~4か月ですっきりしてきます。
冷え性
よもぎとにんにくを入浴剤にして、血行を促す
冷え性の特徴は、ふつうに寒いのと違って、足や腰など体の一部だけが冷えること、そして、ときには下半身は氷のようでも上半身はほてったりします。このため、傍目にはわからない不快感があります。
冷え性は血の流れが滞るために起こるので、その部分を温めて血行をよくすれば楽になります。
お風呂に、乾燥のよもぎと生のにんにくを入れると、効果てきめん。にんにくで匂いがつくのが心配なときは、かわりに、ゆずやみかんの皮、みょうがの葉、大根の葉(いずれも乾燥させて使う)などを入れるとよいでしょう。
月経痛
こんにゃくをゆでて、下腹と腰の両側に当てて温める
月経痛に悩む女性は決して少なくありません。なにも手につかず、ひたすら苦痛に耐えて寝るだけ、という状態から抜け出すには、こんにゃくの温湿布がよいでしょう。
こんにゃくを熱湯で2~3分煮て、芯まで熱が伝わったところで水気をきって乾いたタオルに包みます。これを3つ用意して、下腹部と腰の両側に当てます。体内へじわじわとしみ通る熱が痛みをやわらげてくれます。
月経不順(遅滞)
桃の種を割って仁を取り出し、煎じて飲む
月経が不順になると、肩こり、イライラ、顔のほてりなど、更年期障害によく似た症状が現れます。おばあちゃんは、これは、月経として流れ出るはずの古い血が体内にたまっているため、といい、桃の種の煎じ汁をすすめます。桃の種には古い血を追い出す働きがあると伝えられているからです。桃の種を金づちで割って中の仁を取り出し、5~10グラムを300㏄の水で半量に煎じ、1日3回に分けて飲みます。
長びく月経
れんこんのおろし汁と梅酢を飲むと止血が早まる
普通の月経は3~5日で、あとは子宮や膣内に残った血液や組織がわずかずつ流れ出る程度で、この場合は色は褐色です。ところが、一週間も出血が続き、しかも、色鮮やかな場合は、止血しにくいために長引いていると考えられます。
そこで、れんこんの節にある止血作用を利用してみましょう。毎日30~40グラムをすりおろし、しぼり汁に梅酢を数的落として飲みます。2~3か月で効果が現れ、月経が4日間に短縮した例もあります。
おりものの異常に
漢方薬局にあるキハダ(オウバク)の粉末が効果的
おりものが多い、色や臭いがある、というときは、漢方薬局に在るキハダ(オウバク)の粉末がよく効きます。3~5グラムを1日3回に分けて食間に飲み続けると、1か月後には治ってしまいます。
わきが
米酢で拭くと汗腺はひきしまり、雑菌も殺せる
わきがは、汗腺から分泌した脂気のある汗が、空気に触れて皮膚の雑菌と混じり合って、いやな臭いを出すものです。民間療法では汗や臭いを一時的に抑えることが目的になります。
昔からよく知られているのが、米酢。ガーゼか脱脂綿に含ませてわきの下にすりこむと、酢が、悪臭のもとである雑菌を殺し、また、汗腺をひきしめて汗の量を少なくするので、さわやかになり、4~5時間は安心してすごせます。皮膚の弱い人は、米酢の酸でかぶれやすいので、あとでアルコールで拭き、次に米酢を塗るまでに時間をおきます。
手の荒れ、主婦湿疹
卵、牛乳、果汁など、台所の残りものを利用してパック
水仕事と縁の切れない主婦の手は、いつもガサガサ。荒れもひどくなると、指先や指のはら、付け根の間などが赤くただれたようになって激しいかゆみを覚えたり、ポツポツができたり、きれて血がにじんだりします。これを主婦湿疹といいます。
主婦湿疹を防ぐには、水仕事が一区切りつくごとにパックをするとよいのです。パック材は、台所の残り物の卵、牛乳、ヨーグルト、果汁、蜂蜜など。適当にこれらをあわせて小麦粉を加えて固めに練って手に塗ります。手の皮膚から失われていた脂肪その他栄養分が補給されます。5~10分塗ったままにして、パリパリに乾いたところで洗い落します。
つわり
古いかまどの土を煎じて飲むと、吐き気が治まる
漢方では、妊婦のつわりを止めるのに伏竜肝(ふくりゅうかん)が使われます。これは、古いかまどの土のことで、日本でも昔は、代々この療法が伝えられていました。かまどの黄色く焼けた部分を削りとり、20グラムを水200㏄に入れて10~15分煎じ、上澄み液を1日3~4回に分けて飲むと、ひどいつわりも3~4日でおさまります。妊婦の体液は酸性に傾いているので、アルカリ性の伏竜肝がこれを中和するのでしょう。
母乳不足
カルシウムが豊富なこいの料理で母乳がふえる
母乳で育てようと決心しても、これがなかなかうまくいかないことがあります。特に初産の場合は不慣れからくる緊張も伝わって、母乳不足に悩まされがち。そんなとき、おばあちゃんはお乳の出る食べ物をいろいろ用意してくれます。その筆頭はこいこく。こいの切り身50グラムをみそ汁に入れると効果てきめん。こいには、ほかの魚と比べものにならないほどカルシウムが多く含まれているためでしょうか。こいこく以外にも、から揚げにして骨ごと食べるのもよいことです。
ほかに、たんぽぽの葉や花、ずいき(里いもの茎を干したもの)も、お乳の出をよくする食品として知られています。
不妊症
妊娠ビタミン(E)が豊富な小麦麦芽を毎日食べる
不妊症の原因はいろいろありますが、男性の側に問題がなければ、女性の子宮や卵巣の機能の発育不全かもしれません。こういうケースは、小麦麦芽を常食することをおすすめします。ビタミンEは別名“妊娠ビタミン”というくらい妊娠には欠かせない栄養素ですが、小麦麦芽にはたっぷり含まれているのです。小麦麦芽は漢方薬局か自然食品店にあり、粉末と扁平の粒上の2種類あります。粉末はそのまま飲むかご飯にかけて食べてもよいでしょう。扁平な粒はご飯に炊き込みます。一日の分量は約50グラム。
小麦麦芽のほかに、ハブ茶とゲンノショウコを合わせた煎じ汁も有効です。
産後の肥立ち
れんこんとひじきの油いためを三食ごとにたっぷりと
昔の人は、赤身の魚は産後の“血を荒らす”といいましたが、血を荒らさずに体力をつけるには、れんこんとひじきの油いためが適当。れんこんは止血の働き、ひじきはカルシウムが多く血液をきれいにして疲労をとる働きがあります。
三度の食事ごとにたっぷりと食べると、産後の肥立ちがよくなります。
まとめ
女性特有の様々な病気や不調に対するおばあちゃん直伝の民間家庭療法を紹介しました。更年期障害から冷え性、月経不順、そしてつわりまで、おばあちゃんたちが代々受け継いできた知恵と経験を通じて、女性の健康をサポートする方法を探求しました。
更年期障害に苦しむ方々への温かいケアや、冷え性を改善するための身近な家庭療法、月経不順のサイクルを整えるためのアドバイス、そしてつわり期間中のリラックス法など、おばあちゃんたちの知恵は幅広い症状に対応しています。
伝統的な民間家庭療法は、時には現代医学よりも優れた解決策を提供することもあります。このブログを通じて、おばあちゃんたちの知恵と経験を取り入れ、女性の健康をサポートする新しい視点や方法を見つけていただけたら幸いです。
私たちの身近にある伝統的なケアの大切さを再確認し、おばあちゃんの知恵を大切にして、女性の皆さんが健やかな日々を送れるよう願っています。