着物を身に纏うと、日本の美しい伝統がよみがえります。緻密なデザイン、鮮やかな色彩、そして独特の着こなし技術には、深い歴史と文化が息づいています。着物文化は世代を超えて受け継がれ、日本の歴史や美意識を伝えてきました。このブログでは、おばあちゃんから学んだ着物にまつわる知恵を紹介します。一緒に着物の魅力を追求し、新たな発見を共に楽しみましょう。
- 九月に麻の着物は着ない。
- 着物を着るときは、足袋からはく。
- 着物の着付けのとき、小物はかがまなくてもとれる場所に置く。
- 着物は、うしろ襟を洗濯ばさみでとめると着付けやすい。
- 晴着の半襟には、もめんの襟芯(衿芯)か和紙を入れる。
- まとめ
九月に麻の着物は着ない。
「麻は九月に着ない。」とおばあちゃんはよく申します。最初にこのことを聞いたときは、何か九月の陽気が麻の着物に悪いのか、また残暑きびしい九月に、涼しい麻の着物がなぜいけないのかと思いました。
ところが、よく聞いてみますと、「いくら残暑きびしいとはいえ、九月はすでに夏の終わりである。夏中着てきた麻を、いつまでも着ているのは、着古しの感があり、事実どこかに着くたびれた感じが伴うものだ。」というのです。言われてみれば確かにその通りで、着こなしの上手な人は、季節の早めに、着物を取りかえているようです。
日本の服飾史や生活風俗の研究を見ても、日本人には、もともと、俳句の季語や暦の季がわりの言葉からもわかるように、季節の変化を尊ぶ傾向があり、衣服なども、季節の変化を先取りし、目に新鮮な感じを与えるのが、おしゃれの重要なポイントとなっていたようです。こうした日本的な感覚は、今も昔も変わりないでしょう。
というわけで、特に着物は、六月になると単衣物を、七、八月には麻物を、九月になると再び単衣物を、そして十月になると袷を着るのが、季節遅れしないコツなのです。
着物を着るときは、足袋からはく。
着物を着慣れてない人は、長襦袢の着方だの、帯の締め方だの、襟のぬき方だのが、最初から気になって、つい足袋をはくのが後回しになってしまうことがあります。着物の着付けが終わってから足袋をはくのは、大変な苦労なのです。
足袋は、他人がかわって履かせてあげるわけにはいきませんので、自分でかがみこむことになります。すると、きちっと締めた帯が腹や胸を圧迫して苦しくなるばかりか、せっかく完成した着付けがくずれてしまうのです。
このようなことがないよう、昔から、「着物は足袋から」と言って、着物をまだ着慣れてない人たちに、注意を喚起しています。
無論、このような言葉を知らなくても、何十回、何百回と着物を着ていれば、自然に足袋を最初に履くようになっています。今度着物を着るとき、気をつけて見てください。
着物の着付けのとき、小物はかがまなくてもとれる場所に置く。
足袋は、着物を着付ける前に履くことを申しましたが、それと同じ理由で、着物の着付けに慣れた人は、小物類を、あらかじめ、かがまなくてもとれる場所に置いておきます。
着物には、着付けの途中で必要な小物が、たくさんあるものです。腰紐二本、伊達巻二本または着物ベルト、帯あげ、帯枕、帯じめ、帯じめ紐など、ざっと数えても七、八点以上はあるでしょう。これらを、そのたびに探したり、立ったり、かがんだりしたら、いくら着付けをしっかりしようとしても、うまくできるはずがありません。
着物は、うしろ襟を洗濯ばさみでとめると着付けやすい。
着物の着付けは、おばあちゃんや美容師さんに手伝ってもらうだけでなく、自分でできるようになりたいものです。そこで、自分で着付けをするコツを紹介します。慣れないうちは、長襦袢と着物のうしろ襟をぴったり合わせて、洗濯ばさみでとめるといいでしょう。こうすると、着付けの途中でずれないで、たいへん着やすいのです。長襦袢と着物の背縫いを重ねて襟山をそろえ、両肩明けの位置を、二か所ほどとめます。おそらく、おばあちゃんがこっそり着付けを練習したときの、経験から生み出された知恵でしょう。
晴着の半襟には、もめんの襟芯(衿芯)か和紙を入れる。
晴着を着たときは、襟足とともに襟元が、もっとも注目をあびる中心点です。小じわが寄ったり、型くずれしたりしていては、せっかくの晴着もだいなしで、襟をぴんとさせるために、昔からさまざまな工夫がされています。
その一つに、晴着の半襟には、もめんの襟しんか和紙を用いるとよいということがいわれています。襟芯を自分の襟幅に切り、半襟の両端より10センチぐらい長めに半襟にとじつけます。これを、長襦袢の襟の表側へとりつけるわけですが、肥った人は、全部取りつけないで、肩から10センチぐらいのところでとどめておくのがコツだとされています。半襟の両端より残した10センチは、伊達巻の下へ織り込みます。和紙の場合も、方法はまったく同じです。
まとめ
このブログを通じて、着物に関する知恵を紹介してきました。着物が持つ日本の美しい伝統や文化、緻密なデザインや鮮やかな色彩、そして着物の着こなし技術には、長い歴史と豊かな知恵が息づいています。おばあちゃんから学んだ知恵や経験も、着物の魅力をさらに深める貴重なものです。これからも、着物の魅力を共有し、着物の魅力を取り入れた生活をおくるきっかけになれば幸いです。ありがとうございました。