衣類は、私たちが日常で身に着けるだけでなく、心の装いでもあります。それはまるで、言葉が心を飾り立てるように。このブログでは、古今東西のことわざや格言を通して、衣類に込められた知恵と人生の智慧を垣間見ていきましょう。
- 暑いときに厚物を縫い寒いときに薄物を縫う
- 上辺の煤より生地の切り継ぎ
- 借り着より洗い着
- 北向きにて髪を洗うな
- 絹糸三寸、縄一尺あれば捨てつるな
- 着れば着寒し
- 仕事は衣から
- 衣はつくりもの
- 足袋は姉はけ雪駄は妹はけ
- 蓑笠を着て人の家に入らぬもの
- 揉み洗いより振り洗い
- まとめ
暑いときに厚物を縫い寒いときに薄物を縫う
夏に冬物を用意し、冬に夏物を用意しておくこと。用意周到なことをいう。
上辺の煤より生地の切り継ぎ
うわべがよごれているのは、まだどうにかなるけれども、生地(素地、素質)までが継ぎはぎなのはどうしようもない。表面より中身が大切だということ。
借り着より洗い着
借りてきたものよりも、たとえ洗いざらしのきものであっても自分のもののほうがよい。他人に頼って豊かな生活をするよりも、たとえ貧しくても自力で生活した方がよいことのたとえ。
北向きにて髪を洗うな
北を忌むことからいわれだしたことと思われるが、実際に北向きに鏡を見ると光が弱く、鏡に映る姿がそれだけ鮮明でないので髪を結いにくい。同じように「北向きにて着物を裁てば裁ち損なう」ということもいわれる。
絹糸三寸、縄一尺あれば捨てつるな
価値のないようなわずかなものでも、捨てないほうがよい。いつかは役にたつものである。
着れば着寒し
寒いときに、衣類を何枚も重ねても、それに慣れてしまい、また寒さを感じるもの。運動したり、食事をしたりして中から暖まるようにすることが必要である。
仕事は衣から
仕事をするときは、まずその仕事にあった身支度をするのがよい。仕事をするときにしっかりした身支度が必要であるという意味の「仕事は布子」というものもある。
衣はつくりもの
人の姿は、きものの着方、美容のしかたで美しくなるものである。
足袋は姉はけ雪駄は妹はけ
足袋は洗うたびに小さくなるので足の大きい姉が先に履くとよく、雪駄はだんだんと下緒がゆるむので妹から履くとよい。また、足袋は大きめのものを、雪駄は小さめのものをそれぞれ買うとよい。
蓑笠を着て人の家に入らぬもの
蓑笠をかぶったままで家に入ってはいけないことは、日本書紀(奈良時代)のころからいわれている。現代でも帽子をかぶったまま人の家に入るのは失礼とされている。
揉み洗いより振り洗い
一部を洗うよりも、全体を洗えということ。一時しのぎの対策は避けるのがよいことのたとえ。
まとめ
衣類は単なるファッションだけでなく、自己表現や人間関係、そして人生そのものを彩ります。昔から語りつがれている、それぞれのことわざや格言に込められた知恵を心に留め、より充実した暮らしを楽しんでください。