おばあちゃんから受け継がれた、軽いけがや小さな怪我に効く家庭療法をご紹介します。自然の力や手づくりの優しさを活かした、昔ながらの治療法を学んで、身近な環境で健康を取り戻すヒントを見つけましょう。大切なのは、日本の伝統的な知恵を活かし、健やかな暮らしを築いていくことです。
打ち身・捻挫・突き指
里いもで作ったいも薬湿布を患部に貼り、5~6時間ごとに替える
里いも、小麦粉、しょうがを合わせて作ったいも薬で、患部の腫れと痛み、熱感を鎮めます。作り方は、里いもの皮を厚めにむき、身をすりおろして同量の小麦粉と少量のおろししょうがを加えて、よく練り合わせます。
患部に貼ったいも薬は5~6時間で効果がなくなるので、取り替えます。替えるときは、ぬるま湯で前のいも薬をよく洗い、1時間ほどおいてから新しく張ると、かぶれが防げます。
なお、いも薬の上から包帯をしっかり巻いて、患部を動かさないように工夫することも大切です。
抜けにくいトゲ
里いものすりおろしか、ハト麦こう薬を貼って一日待つ
短いトゲ、途中で折れてしまったトゲには、里いものすりおろしを貼ると、翌日にはトゲが自然に浮き出てきます。体がトゲという異物を押し出すのを助けてくれるのです。少量のハト麦をつぶし、ごはん粒といっしょによく練り合わせた、ハト麦こう薬も効果的です。
靴ずれ防止
靴の内側に石けんを塗って摩擦を少なくする
新しい靴で最初から長歩きをすると、靴ずれができて、途中でどうすることもできず困ってしまいます。まず、近くの外出にはいてみて、靴ずれしそうかどうかを確かめましょう。少し痛んで赤くこすれたようになったら、その部分の靴の内側に固形石けんを塗りつけてみましょう。足との摩擦が少なくなって歩きよくなります。
また、あらかじめ足のその部分にばんそうこうを貼っておくと、もっと心強いものです。
しもやけ
お湯と水に交互につけて、血液のめぐりをよくする
北風の中を遊び回る子供たちに、しもやけはつきもの。手だけでなく、きゅうくつな靴や室内での素足から、足にできることもよくあります。
ひどくなると紫色に腫れますが、たいていは痛みと、温まったときの痒み程度。この段階で治すには、お湯と水に交互に患部をつける方法が適切です。お湯は少し熱めにして、それぞれ薬30秒ずつを、5~6回繰り返します。
傷の血止め
よもぎやニラをもんで傷口に貼る
よもぎやニラは、血止め薬として知られています。野外でけがをしたとき、傷口を指で押さえたくらいでは止まらない出血のとき、近くによもぎかニラがあれば大助かり。よもぎはつばを混ぜながらよくもんで傷口に貼ると、5~6分で血は完全に止まります。ニラも、もんで(あれば塩をつけて)汁が出てきたら傷口に当てます。
傷あとを治す
卵白をたっぷり塗って包帯をして、一日一回必ず取り替える
まず、塩水で傷口をよく消毒します。そのあと、水気を拭き取って、卵白を傷の奥深くまでたっぷりとしみこませて、ガーゼをあてて包帯をします。
患部は水でぬらさないように充分注意し、卵白は一日一回必ずとり替えます。2~3日で傷が治り、しかも傷あとが驚くほどきれいに消えます。
虫刺されに
何種類かの野草を集めてよくもんで患部に当てる
虫刺されに効く草はたくさんあります。刺した虫によって毒が違うので、野草も何種類か覚えておいて、いざというとき、5種類くらい集められるとよいのです。よくわからないときは、なるべく葉の柔らかそうなものを選ぶのがコツ。
アロエ・ツユクサ・たんぽぽ・よもぎ・ハコベ・ギシギシ・オオバコ
上記の野草はいずれも、葉をもんであてます。野草のほかに、アロエの葉や里いもの茎を折って汁をこすりつけたり、スイカの皮、菊の葉、大豆の葉のもみ汁も効きます。
クラゲに刺されたら
温かいほうじ茶かハブ茶で洗う
ほうじ茶があれば、カップ1杯分くらいで患部を洗うと、痛みがかなりやわらぎます。この応急手当のあと、家でハブ茶の煎じ薬か、なければお茶を濃く煎じたもので、どちらも温かいうちに、患部をていねいにあらいます。
まとめ
おばあちゃんから受け継がれた、小さなけがや軽い怪我に効く家庭療法をご紹介しました。昔ながらの治療法には、自然の力と手づくりの優しさが息づいています。これらの知恵を学びながら、身近な環境で健康を取り戻すヒントを見つけましょう。日本の伝統的な知恵を大切にし、その叡智を胸に健やかな暮らしを築いていくことが、私たちの心と体を豊かにしてくれるのです。