四季折々の美味を通じて伝わる叡智。食材が持つ知恵や教訓が詰まった言葉たちが、私たちの生活を豊かに彩ります。前回に引き続き、今回は食の第二編。春夏秋冬それぞれの季節に伝わる、さまざまな言葉の奥深さに迫ります。食事の際の賢い知恵や深い意味合いについて、一緒に探求してみましょう。食を通じて受け継がれる叡智の数々、その奥深さを共に味わっていきましょう。
大きな大根辛くなし
大根のうちでも大きく太い品種、たとえば練馬大根、宮重大根、聖護院大根、桜島大根などはあまり辛くない。体の大きな性格のゆったりしている人や見かけのわりに役に立たない人のたとえにもいわれる。
借りて八合、済す一升
人に物を借りるときは、二割増しにして返すような心がけが必要である。
鯨百味
くじらは体全体どこでも食べられ、それぞれの部分で味が違い、そのため百味といわれる。
小米を噛めば甘くなる
小米とは、精米のときにくだけてしまった米のことで、たとえ味は落ちる小米でも、かめば甘くなる。米をかむと甘くなるのは、米のでんぷん質が唾液中のプチアリンの作用により、糖に変わるからである。ものごともすべて、よくかみしめてみなければ、本当のことはわからないことのたとえとしても使われる。
午前中の果物は金
「午前中の果物は金、昼から15時までは銀、15時から18時までは鉄、18時以後は鉛」ともいわれる。朝のくだものは胃の活動を促し、消化を助けるなどの効果がある。これに対し、果物には、消化の悪いものもあるので、寝る前に食べるのはよくないとされている。
酒に十の徳あり
酒には、十の有利な点がある。百薬の長(酒には適度に飲めば健康によい)、寿命を延ばす、旅行に食あり、寒気に衣あり、推参に便あり(突然の訪問のとき便利である)、憂いを払う玉ぼうき(心配ごとを忘れるうえに役立つ)、位無くして貴人に交わる、労を助く、万人和合す、独居の友となるの十種。ただし、飲みすぎるとよくないので「百毒の長」ともいわれる。
食に餅を嫌う
餅を常食にするのはよくない。餅はほとんどがでんぷんで、ビタミンや脂肪はほとんど含まれていない。したがって餅をやたらたべると餅だけで腹がはり、でんぷん以外の栄養分の摂取が不十分となり、栄養の点からもよくない。このことから、お雑煮や七草粥は栄養分を補うということから意味深い。
大根の間引き葉の一夜漬けを食べるとあてられる
大根の間引きは、ふつう天気のよい朝に行われる。このようなときは大根の葉が露にぬれているのでこの水滴をつたわって、コウ虫などの虫が葉につきやすい。このような虫は、一夜漬けにしても死なないので、食べるとぜんそくに似た発作を起こすことがある。これは若葉を食べるとよく起こる現象なので”若葉病”ともいう。大根に限らず若葉を食べるときはよく洗うことが大切である。
大豆は畑の肉
大豆には、動物性のたんぱく質に似たアミノ酸の組み合わせのたんぱく質が100グラム中19グラム含まれているので畑からとれる肉のようなものだという。その上、脱コレステロール作用もあり、健康食品。
筍に米ぬか
たけのこをゆでるときは、水の量の2~3割のぬかを入れて、水からゆでるとおいしくゆでることができる。これは、ぬかの溶けた濃いゆで汁は、アクのもととなるシュウ酸を引き出す。また、ぬかの酵素がたけのこに作用して柔らかくし、ぬかのでんぷん粒子が表面をおおい、酸化を防ぎ白くゆであがるからだといわれている。
まとめ
食事を通じて伝わる知恵や意味に触れ、それぞれの季節に込められた言葉の深さに感銘を受けました。食材が持つ文化や季節感が、私たちの食卓を豊かに彩ることを改めて実感しました。食と言葉の結びつきが紡ぐ物語は、私たちに叡智を伝える貴重なものです。これからも、食の持つ意味や言葉の奥深さに耳を傾け、食事を通じて得る喜びを大切にしていきたいと思います。